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武蔵野市の街並み調査

執筆者の写真: misimamisima

更新日:2019年1月12日

武蔵野市の依頼による耐震化調査。

看板建築と呼ばれる懐かしい昔の商店建築。

   東京都の指定する緊急輸送道路に面する家屋には手厚い耐震助成が行われている。震災緊急時の道路輸送力を確保したいからである。今回は武蔵野市の緊急輸送道路沿いで、特に戸建て家屋についての調査を行った。  

   私は五日市街道沿いを吉祥寺駅から三鷹方面に向けて57件を調査した。道路の復員の半分の高さの建物は市の助成対象となる。もし地震時に道路側な形で倒れても決して交通を遮断することが無いようにするためである。


   写真のように、間口が2間しかない木造店舗がある。これらの店主は、なかなか耐震補強に同意することができない。これらの店舗はあまりにも細く、補強すると店舗の間口が狭くなってしまうのが明白であるからだ。間口の広さは店舗の生命線であり、この間口を保ったままの有効な補強方法はない。「一体どうすればいいんだ!。これで何とかしろというならもっと金を出せ!」 との不満はもっともであり、耐震の街つくりが進まない。

  

  店主の気持ちはよく分かる。これらの店舗はかつては日本の繁栄の1ページであったのにだ。当時は街並みを形成してなんの問題もない店舗が、ある日こうして問題があることになってしまった。店主は本当にかわいそうである。しかし、助成金が出るとしてもその額は、公費はめったに個人資産である店舗に使うわけにいかないから、助成金は考えるほど十分ではない。結果として、多少の金をちらつかせてはいるが、店主には自前で何とかしなさいと迫ることになる。わが国のこの方針の考え方に納得はできるが、しかし疑問は残る。


  ひどい事例だと、地震保険をかけているからよい、だとか、もう死んでしまってもかまわない、とかの話も聞く。


  武蔵野市から委託を受ける建築士が今回はこの推進業務にあたる。そもそも、私も建築を志して以来、こんなに貧しい現実に直面することを考えなかったわけではない。だから行政より借用した腕章をして、少しでも物事が前進するように懸命に説得することに使命感さえ覚える。 しかし、もし可能であるなら、もっと前向きの提案をしてあげたいものだ。共同で建て替えるという方法もあるし、出資を募り活性化のアイデアを示すとか、あるいはまた等価交換でマンション化するかとか、そういうことはできないものだろうか。

  

  今日、行政が耐震の安全性のみを沿道の家屋に求めるように見えるのは、まことに不本意とは思うが、この部分はもう少し他の案(代替案等の用意など)に公費を使い、生活の安全の提案として受け入れられるようなものにしてはどうかと思う。まだまだハードルは高い。




  子曰、君子食無求飽、居無求安。

      (子曰く、君子は飽食を求めず、住まいに安ずるも求めない。)


  敏於事憤於言、就有道而正為。

      (事に敏にして言を慎み、道有るものに就いて間違いを正す。)


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   後日、調査結果を市に提出後、市民の反響を聞いてみたところ、この調査の後に一軒も問い合わせがないとのことだった。少なくとも私の担当した57戸の中で7戸~8戸は、今すぐにでも耐震の相談をしに市に行くとの回答をもらって帰った。とても口先だけだったとは思えないが、いったいどうしたことだったのか。

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